仏教にまつわる怖い話① 昔話『おむすびころりん』のネズミの穴は地獄だった

おむすび イメージ 昔話
※おむすび イメージ

日本昔話の1つ『おむすびころりん』について怖い話をしていこうと思います。

実はこの話には、一般的に知られているストーリーとは別に2パターンのエンディングがあるのをご存知でしょうか?

物語に登場する人物像、ネズミ。それぞれに焦点を当てると共に、このお話には【地獄】が隠れている点について仏教の世界観になぞらえて解説していきます。

当時の日本人はどのような意味を込めて物語を語っていったのでしょうか?

ネズミ イメージ
※ネズミ イメージ

物語パターン① ネズミの正体とは?

おむすびころりんの一般的なお話は次のようなものになります。

パターン①

「おじいさんは、焚き木の枝を刈りに山で出かけました。おばあさんが作ってくれたお弁当を食べようと包を開けると、うっかりおむすびを穴に落としてしまいます。おむすびは山の斜面をコロコロと転がっていき、木の根元にある穴の中に落ちてしまいました。」

「おじいさんがおむすびを追って地下へ降りると、そこにはたくさんのネズミがいて、たっぷりのお礼をしてくれました。おじいさんは宝物をもらって地上へ帰ります。この話を聞いた強欲なおじいさんは、穴におむすびを投げ入れ、同じようにネズミの穴へ降りていきます。宝物をごっそりいただこうと、猫の鳴き真似をしてネズミたちを追い払おうとすると、ネズミたちは明かりを消して一斉に逃げ出します。おじいさんは真っ暗な穴から出られなくなりました。』

ねずみ イメージ
※ねずみ イメージ

これは【ネズミ浄土】と呼ばれるお話です。
タイトルからお分かりの通り、ネズミたちの住む地下世界は、基本的におじいさんに恵みをもたらす場所の為、「浄土」と言えるでしょう。

蓮の花 イメージ
※蓮の花 イメージ

しかし、実際は恐らしい「地獄」なのでした。強欲なおじいさんがネズミを追い払おうとすると、浄土は一瞬にして消え去り、おじいさんは暗黒の地下世界に閉じ込められてしまうのです。

地獄 イメージ
※地獄 イメージ

ネズミは「根住み」で「根の国の住人」と解釈出来ます。
日本神話では、「根の国」は死者が住む他界なのです。

地獄 イメージ
※地獄 イメージ

物語パターン② 地下世界には鬼と地蔵がいる

2つ目のパターンは次のようなお話です。

パターン②

「おじいさんがおむすびを追って地下へ降りると、そこには石地蔵が立っていて、石地蔵はおむすびのお礼に鬼から逃れる方法を教えてくれました。そこでおじいさんは、教えられた通り、鶏の鳴き真似をして鬼を撃退し、宝物をいただいて帰ることが出来ました」

地蔵菩薩 イメージ
※地蔵菩薩 イメージ

これは【地蔵浄土】といわれるお話です。
ここでの地蔵は、祖霊(先祖の霊)を表していて、だから地下世界は「浄土」といえます。

しかし鬼が暗躍しているわけだから、そこはどう考えても「地獄」なのですが、おじいさんは地蔵のアドバイスをもらって、かろうじて地獄から生還を果たします。

地蔵(祖霊)は、正しい心を持つ慈悲深い者には宝物を与え地上へと帰してくれるのでした。

地上への穴 イメージ
※地上への穴 イメージ

物語パターン③ ついに鬼に捕まってしまい…その後どうなる?

3つ目のパターンではついに鬼に捕まってしまいます。
今までのお話以上に地獄観が強くなっていきます。

パターン③

「おじいさんがおむすびを追って地下へ降りると、に捕まり飯炊きをさせられてしまいます。1粒(または3粒)の米を釜に入れて、特別の杓子でかき回すと釜いっぱいのご飯が炊けました。おじいさんは、その米粒を持って逃げ帰ります。いくら使っても尽きることのない米で大金持ちとなったのです。」

これは【鬼の浄土】【地獄白米】などと呼ばれる話です。
東日本では宝物を持ち帰る話が多いですが、西日本ではこのような米粒を持ち帰る話が多いとされています。

話は変わりまして、南北朝時代の『矢田地蔵縁起絵巻』には、この【鬼の浄土】型の話が収められています。

閻魔大王が地獄に蔓延する悪病を鎮めるため、矢田寺の満米上人を地獄に招き受戒します。
この時、満米上人は地獄で地蔵菩薩を見ています。

満米上人は土産に白米の入った小箱をもらって帰りますが、それは使っても尽きない米だったそうです。

米 イメージ
※米 イメージ

地下世界は浄土の顔をした地獄だった

以上の『おむすびころりん』の原作に共通することは、おむすびが転げ落ちた先の地下世界は、「浄土」の顔をした「地獄」だということです。

シトリン
シトリン

正しい者にとっては浄土だが、悪い心の者にとっては地獄に変わる世界。
「善い行いをすれば善い結果が得られ、悪い行いをすれば悪い結果になる」という仏教の「因果応報」の教えが説かれているのです。

仏教の世界観では、極楽浄土は西の方角の想像できないほど果てしなく遠くにあり、地獄は人間が住む贍部洲(せんぶしゅう)の地下深くにあると言われています。

※贍部洲(せんぶしゅう)…仏教の宇宙観にて世界の中心にある須弥山(しゅみせん)の南方に位置する三角形の大陸。何方にあるため南閻提(なんえんぶ)ともされる場所。

浄土」と「極楽」は全く別のところにあるんです。

地獄 イメージ
※地獄 イメージ

日本でも同じ発想はあるが、独自の発想で「山中他界」や「海中他界」があります。
これは人間の生活に身近な山や海を【あの世】としたのです。

このとき、山は浄土であり地獄にもなりました。海も浄土であり地獄にもなったのです。

山 イメージ
※山 イメージ
海 イメージ
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例えば、空海が開いた高野山では山岳宗教に伴う高野山浄土信仰があり、同時に人々は高野山に納骨をしたと言われています。


まとめ

日本人が考える「あの世」は、浄土と地獄が隣合わせなのです。

そこには祖霊が仏教化した地蔵がいて宝物や米が与えられますが、間違った行いをしたり、祖先を大事にしなければ一瞬にして地獄と化し、恐ろしい祟りが起きると考えられてきました。

山 イメージ
※山 イメージ

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