薬師如来とは?ご利益や特徴、仏像の見分け方【仏像の基礎知識】

薬師如来 イメージ 歴史
※薬師如来 イメージ

お寺を訪れると、さまざまな仏像を見ることがあります。その中でも「薬師如来」という名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

薬師如来は人々の病を癒やし苦しみを救うとされる仏様です。仏像では左手に薬壺を持つ姿が特徴で、古くから健康や無病息災を願う信仰の対象として知られています。

この記事では薬師如来の役割や歴史、仏像の特徴、さらにお寺で見かけたときに注目したいポイントを分かりやすく紹介します。

光明 イメージ
※光明 イメージ

奈良仏教の中心となった仏様

薬師如来は病気や飢饉を防ぐ仏として奈良時代に厚く信仰されてきました。

奈良時代には「鎮護国家」という思想がありました。これは仏教の力によって災いを鎮め、国家の安泰を祈願する考え方です。薬師如来は、その中心的な存在とされていました。

この信仰は平安時代になっても強いものだったとされています。

例えば
・最澄が比叡山に最初に建立した仏堂の本尊
・空海が密教の道場とした教王護国寺の本尊
・高野山金剛峯寺金堂の本尊

これらも薬師如来といわれています。

平安時代に浄土教が広まると、お寺の境内では西側に阿弥陀如来、東側に薬師堂を建てて、現世と来世の幸福を祈る信仰も見られるようになりました。

現在でも各地の古寺では「〇〇のお薬師さん」と呼ばれる寺院があり、初詣や厄除けなどで多くの参拝者が訪れています。

寺院 イメージ
※寺院 イメージ

薬師如来のご利益と仏像の特徴

薬師如来のご利益

薬師如来は現世利益をもたらす仏様とされています。

現世利益とは仏の教えや信仰によって、今生きているこの世で幸福や恩恵を授かることを指します。

例えば

利益効果
無病息災・病気平癒病気せず健康に・病気の予防と回復
家内安全家族全員と家に災害がなく平穏に暮らせる
厄除け邪気や災難、不幸が降りかからないように
金運向上金銭に関する運勢を上げる
合格祈願特定の学問の試験で合格するように

などが代表的なご利益として知られています。

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※祈り イメージ

薬師如来が信仰された時代背景

薬師如来が広く信仰された背景には奈良時代の厳しい社会状況がありました。

奈良時代の最盛期といわれる天平文化の時代では地震や疫病が相次いで起きています。

734年には大きな地震が発生し、その直後の735年〜737年には天然痘が大流行しました。この疫病によって、当時の人口の3割ほどが亡くなったともいわれています。

疫病は大宰府に帰国した遣唐使や新羅使が平城京へ持ち込んだ可能性があるとも考えられています。

ウイルス イメージ
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このように奈良時代は地震や疫病、飢饉などが頻発する非常に過酷な時代でした。

朝廷はこれらの災害や厄災を克服するため仏教の力に頼り、特に薬師如来を信仰することで苦難を乗り越えようとしたのです。

辛い状況に立たされたとき、神や仏など目に見えない存在に救いを求めたくなるのは、今も昔も変わらないのかもしれません。

祈り イメージ
※祈り イメージ

仏像の特徴と見分け方

薬師如来の仏像には、いくつか特徴があります。

左手の薬壺ー薬壺(やっこ)と呼ばれる壺を持つ姿が特徴です。心身の病を治す薬が入っているとされています。

印相(ポーズー右手は手のひらを前に向けた「施無畏印(せむいいん)」というポーズで、「恐れることはない」という意味を表しています。

左手は願いを叶える意味を持つ「与願印(よがんいん)」で、薬壺を持つ姿で表現されることが多いとされています。

脇侍と十二神将

薬師如来の両脇には日光菩薩・月光菩薩が配置されることが多く、さらに十二神将が周囲を守護しています。


薬師如来と十二神将の関係(干支の守護神)

十二神将とは

十二神将は、薬師如来の世界と信仰する人々を守る12体の武神です。
十二支の方角を守る存在ともされ、干支の守護神として信仰されています。

(以下は仏像入門ドットコムより引用)

1.毘羯羅大将(子)
2.招杜羅大将(丑)
3.真達羅大将(寅)
4.摩虎羅大将(卯)
5.波夷羅大将(辰)
6.因達羅大将(巳)
7.珊底羅大将(午)
8.頞你羅大将(未)
9.安底羅大将(申)
10.迷企羅大将(酉)
11.伐折羅大将(戌)
12.宮毘羅大将(亥)

香港黄大仙祠 十二支像イメージ

※名称は寺院や資料によって異なる場合があります。

十二神将のご利益

十二神将には次のようなご利益があるとされています。

利益効果
病気平癒病気、怪我の回復
身体健全心身共に健康であること
厄除け邪気や災難、不幸が降りかからないように
延命長寿健康かつ長生き
現世利益信仰、信心によって得られる利益
十二支 イメージ

十二支と結びつき、時間や方位を守護する存在として信仰されています。

薬師如来を守護する理由

十二神将は、薬師如来と薬師経を信仰する人々を守る役割を担っており昼夜12時間、12ヶ月、12方位を守護する存在とされ、それぞれの神将は7000人の眷属を率いているともいわれています。


愛知県で拝める薬師如来と十二神将

愛知県の薬師如来

・岡崎市 一畑山薬師寺
・稲沢市 西福院
・北名古屋市 高田寺
・新城市 鳳来寺

愛知県で見られる十二神将

・岡崎市 瀧山寺
・岡崎市 一畑山薬師寺
・扶桑町 正覚寺


まとめ

薬師如来は、人々の病や苦しみを救う仏様として古くから信仰されてきました。奈良時代には疫病や災害が多かったこともあり、国家を守る仏として特に重要な存在とされていました。

仏像では左手に薬壺を持つ姿が特徴で、日光菩薩や月光菩薩、そして十二神将が周囲を守護しています。こうした特徴を知っておくと、お寺を訪れたときに仏像を見る楽しみもより深くなるでしょう。

愛知県にも薬師如来や十二神将を拝める寺院があります。実際に訪れてみることで、仏像の魅力や信仰の歴史をより身近に感じられるかもしれません。

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