「ほどなく、お別れです」映画レビュー|葬儀業者が泣きながらツッコんだ場面6選+あるある2選

※映画館イメージ 映画
※映画館イメージ

映画『ほどなく、お別れです』を観てきました。

現役で葬儀の仕事をしている私ですが素直に言うと、普通に泣きました…
予告編の時点でホロっときてたので本編開始5分でもう終始涙腺が止まりませんでしたよ。

ただ、葬儀の仕事をしている身としては「ちょっと待って、そこは…!」とツッコミたくなる場面もいくつかありました(笑)

※疑問イメージ
※疑問イメージ

今回は葬儀業者の視点で思わず泣きながらツッコんでしまった場面を6つ紹介してみたいと思います。

※なお、この記事はネタバレあり前提で書いておりますのでご了承ください。

※式場イメージ

気になったシーンはこれだ!

映画の中で特にツッコミどころ満載だったのが主婦·長野桂子が交通事故に遭い、離婚した元夫に会う為、長野県霧ヶ峰高原まで移動するシーンです。

ロケーションバッチリで遮るものもなく、ただただ自然が広がるこの地で最期のお別れってもの凄く感動的だと感じました。

やっぱりこのシーンでも泣けてしまったのですが、それと同時に疑問がめちゃくちゃ出てきてしまいました。悲しいのと感動とモヤモヤでとにかく感情が忙しかったです(笑)

映画なのにそこまでツッコむかというくらい、そのモヤモヤをめちゃくちゃ真面目に書いていきます!

※長野県 霧ヶ峰高原イメージ
※長野県 霧ヶ峰高原イメージ

ツッコミどころ6選

1)東京〜長野までの搬送料金いくらかかった?

主人公の美空が写真を見てご遺族に対し「霧ヶ峰高原まで行きましょう」と提案する場面です。

同業者から見てもご遺族に寄り添う気持ちが見て取れたシーンですが、故人様を搬送するのには料金が発生します。

遺体搬送費用は、主に走行距離で決まります。
近距離(10km圏内)なら約1.5〜3万円が相場です。長距離(500km超)や空輸は10〜30万円以上かかる場合も。

遺体搬送費用の相場(距離・状況別)

・近距離(〜10km): 1.2万円〜2.5万円
・中距離(〜50km): 2万円〜4万円
・長距離(100km〜): 6万円〜10万円以上
・深夜・早朝割増: 通常料金から約1割〜4,000円程度増
・空輸(国内): 15万円〜35万円(車両移動費・航空運賃含む)

映画内だと仮に東京都墨田区〜長野県霧ヶ峰高原までの走行距離はグーグル地図だと214km(所要時間約3時間)。高速代片道5000円。

この場合、料金の目安は10万円から15万円程度となります。この金額は基本料金のため高速道路使用料や深夜・早朝の割増料金などにより変動します。

なのではっきりした金額を出すのは難しいですが、これだけの金額が発生するということなんですね。それを了承してもらえたっていうのがなかなかだと思いました。

※霊柩車イメージ
※霊柩車イメージ

2)火葬場はどこ?長野県?

半日かけて長野県まで来たわけだから、普通に考えて現地で火葬するのかな?と思うわけですよ。まさかそこから東京に帰るなんてことはさすがにないかな〜と思ってしまいました。

だったらリモートでもいいのかなって。はい、夢のないこと言ってすみません…

※長野県 霧ヶ峰高原イメージ
※長野県 霧ヶ峰高原イメージ

3)火葬場が長野県だとしたらわざわざ死亡届出しに行った?

シトリン
シトリン

めちゃくちゃリアルな話ですが、死亡届って基本的に亡くなった本人の本籍地亡くなった市町村届け出人の所在地の役場に出すのが一般的です。

たまに別の市町村で火葬する場面は管外料金を支払えば受け付けてくれます。
となるとやはり火葬場は現地の長野県が有力だと思います。

だとしたら長野県の市役所まで行って死亡届を提出しなきゃいけないんですね。

じゃあそれを誰が行くんだと言われたら大体業者が代理で行きます。稀にご遺族が行かれることもありますが本当に稀です。なぜなら葬儀のプランに入っているから。

正直私なら行きたくないですね…もし行ったとしたら言い出しっぺの美空でしょう。お疲れ様です。

4)火葬時間を考えたら日帰りはキツイ

仮にあのお別れの後、そのまま火葬場に向かって火葬したとしましょう。

火葬時間は大体1時間30分のところが多いです。あの高原から近くの火葬場までの距離が20〜30分(グーグル調べ)。

さらに火葬時間を含めるとトータル2時間。そこからさらに3時間かけて東京に帰るとほぼ1日潰れます。

実際県外などの遠方から見える遺族もいらっしゃるので無理なことはないけど体力的にめちゃくちゃしんどいのは否めません。

5)事故遺体を遠方搬送する現実性

桂子さんは交通事故で亡くなりました。お顔は化粧で綺麗でも体の損傷は激しいはずです。

エンバーミング】という特殊な薬品を使って遺体を長期保存する処置をしない限り遠距離の搬送と移動は難しいのでは?というのが個人的意見ではあります。

いくら綺麗に整えても時間が経てば口も開いてくるし、顔色も変化しやすいです。

映画を観る限りお化粧のみなので故人様の状態の変化が気になるところではあるけど、そこは映画なのでまあ置いておきましょう。

それで実際、遠方の搬送はあるかといえばあります!

例えは葬儀まで日数が空く場合、遠方への空輸が必要な場合、事故や闘病で損傷が激しく生前の姿に近づけたいという場合に施されるんですね。

もちろんエンバーミングにも料金が発生します。もう料金なんて挙げたらきりがないですよ。

※手術イメージ
※手術イメージ

6)これを良しとする会社はほぼいない説

坂東会館の社長は優しい印象でしたが、実際のところ非現実的だなと感じました。(まあ映画だから…)

葬儀を行う上で遺族の意向に沿うのはもちろんのことですが、私達は限られた中で精一杯お手伝いをします。遺族の了承があれば可能ではあるけど演出としてやりすぎ感を感じてしまいました。


意外に【あるある】2選。

1)屋外でのお別れシーン

劇中の霧ヶ峰高原でのお別れシーンとラストの堤防でのお別れシーン。

上記で散々ツッコミ入れまくりましたが、こういうシチュエーションって実は実際のお葬儀でも【あるある】なんです!

それはどんな場面かというと、棺が自宅に入らない場合はあのように棺をセットして屋外で納棺やお別れをしてもらいます。

あんな自然豊かで開放的で人目を気にしない場所なら良いんですが、これが団地や住宅街だとめちゃくちゃ気まずいんですよね…しかも雨なんてこともあると傘差して故人様を濡れないように気を遣うのでいろんな意味で忙しいですのが現実です。

※棺イメージ
※棺イメージ

2)実際の葬儀で泣く

これも【あるある】です!死因も年齢もいろんな方がいらっしゃるし、遺族の想いが強過ぎるとめちゃくちゃもらい泣きします。

さらにナレーションのエピソードにウルっとくることなんていつものことです。それでも仕事と割り切っていますが精神的にくるものがあるのは現実も同じだと感じます。

漆原は美空に対して『泣くな』と厳しく指導していましたが、葬儀担当者にもよるので泣くのがいけないこととは思いません。一緒に泣いてあげることもグリーフケアの一つだと捉えています。


まとめ

その他だと、納棺の儀での帯締めが早過ぎるなどのツッコミもありましたが、全体的にとても感動的だったし最初から最後まで泣ける映画でした。

決して映画を批判したいわけではなく、あくまで葬儀業者としての意見を言葉にしました。

センシティブで敬遠されがちな葬儀会社の物語をこうして社会が取り上げられたことで少しでもイメージが変わればいいなと思えた作品です。

※女性イメージ

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