リトルワールドのインドネシアエリアにある「バリ島 貴族の家」は、ただの展示ではなく、バリの暮らしや信仰を体感できる空間になっています。
一見すると装飾が美しい建物に目がいきますが、実はその背景には宗教観や生活様式が深く関わっています。
この記事では、バリの伝統的な住まいの特徴や意味を、分かりやすく解説していきます。

バリ島 貴族の家とは?
- 復元年代:1980年代
- 復元方法:形態復元

形態復元とは、当時の資料(遺跡・文献・図面など)に基づいて、新たな材料と技術を用いて、過去の家屋の形を再現する手法です。
赤道直下の火山島、バリ島は「熱帯の楽園」とも呼ばれる場所です。
ヒンドゥー文化が深く根付いたこの地には、貴族と平民を分けるカースト制度をモデルとした独自の社会構造が存在します。
バリ島の伝統的な住まいは、日本のように一つの建物で完結するものではありません。敷地の中に複数の建物が配置され、それぞれに役割があります。

特に貴族の家は広い敷地を持ち、格式や身分を感じさせる造りになっています。リトルワールドでは、その特徴をコンパクトに再現しており、バリの生活文化を気軽に体感できるのが魅力です。
リトルワールドに展示されている家屋は、こうした貴族階級の住まいをモデルにしており、現地の大工や石工によって再現されています。
広大な敷地は内壁によって3つのエリアに分かれており、それぞれの空間に役割を持った建物が機能的に配置されています。
神々や祖先を祀る‟神聖な祭祀の場”、‟寝室や台所、穀倉などが並ぶ生活空間’’、そして‟儀礼やお祭りの際に踊りや音楽が行われる場所”が配置されています。
また、バリでは方角にも意味があり、山側は清らかな場所(ガジャ)、海側は穢れを持つ場所と考えられています。
そのため、神聖な祭祀の場は山側に、調理を行う台所は海側に配置されるなど、住まい全体が信仰に基づいて設計されています。
複合的な機能として、1つの建物ではなく、機能ごとに分かれた複合的な東屋(バレ)が庭を囲むように配置されています。

リトルワールド バリ貴族の家の平面図
貴族の家を空から見るとこのようになっています。

聖なるエリア(図中①~⑦)
敷地の一番奥、最も神聖とされる区画です。ここにはヒンドゥー教の神々や先祖を祀るための家系専門の寺院(祭祀場)があり、日々の祈りの中心となっています。
生活のエリア(図中⑧~⑭)
中央部分は、家族が日々を過ごすプライベートな空間です。
儀式を行うための建物を中心に、家族が休む寝室、大切に保管される穀物庫、そして台所が立ち並び、バリの伝統的な暮らしの息遣いを感じることができます。
公共・交流のエリア(図中⑮~⑱)
入口に近い手前の部分は、外部との繋がりを持つ場所です。人々が集う社交場の役割を持ちます。
次の章では、エリアの各ポイントをさらに深堀して解説していきます。
割れ門とは?
バリの伝統的な住まいで特徴的なのが、入口にある「割れ門(チャンディ・ブルタン)」。中央で左右に分かれた独特な形をしており、バリらしい景観を象徴する存在のひとつです。

この門は単なる装飾ではなく、外の世界と神聖な空間を分ける境界としての意味を持っています。
敷地に入る際の”区切り”としての役割もあり、バリの信仰や価値観が表されているポイントといえます。

魔除けの“ボマ”とは?
入口にある意味入口付近でひときわ目を引くのが、迫力のある顔の彫刻「ボマ」です。
少し怖い表情をしていますが、これは魔除けの役割を持っており、悪いものが家の中に入るのを防ぐとされています。

こうした装飾は信仰と結びついているのが特徴です、見た目のインパクトだけでなく、「守る意味」が込められている点も注目したいポイントです。

中庭はどう使う?バリの暮らしとの関係
バリの家は中央に中庭があり、その周りに建物が配置される構造になっています。「バレ・ダンジョ(Bale Dauth)」の呼ばれるこの中庭は単なる空間ではなく、家族が集まったり、儀式を行ったりと、生活の中心となる場所です。

日本のように「家の中で完結する暮らし」とは違い、外とつながった開放的な空間で生活するのが特徴的です。
お祭りや儀式の際には、ここで華やかな踊りやガムラン合奏などの余興が披露され、人々が集う賑やかな社交場としての役割を果たします。

敷地ある内にお寺(祠)とは?
バリの信仰との関係
バリの住まいには、敷地内に小さなお寺(祠)があるのが一般的です。
ここでは日常的にお祈りが行われ、神様だけでなく祖先への感謝や祈りも大切にされています。
つまりバリの家は、「住む場所」であると同時に「祈る場所」でもあります。こうした信仰が日常の中に自然と溶け込んでいる点は、日本との大きな違いのひとつです。
こうした祠や信仰の背景には、さまざまな神様の存在があります。

装飾や空間から感じるバリ文化
建物の細かい彫刻や石像、門のデザインなども、バリらしさを感じられるポイントです。どれも単なる飾りではなく、宗教や意味が込められており、空間全体に独特の雰囲気を作り出しています。
実際に歩いてみると、静けさの中にどこか神聖な空気を感じるのも、この場所ならではの魅力です。

バリ島・ヒンドゥーの神々
バリ島ではヒンドゥー教の影響が強く、日常生活の中でもさまざまな神様が身近な存在として信仰されています。
リトルワールドのバリエリアでも、こうした神々をモチーフにした像を見ることができ、バリの宗教観や文化を感じるポイントのひとつです。

その代表的な神様を3つ紹介していきます。
① サラスワティの像

サラスワティは、学問や芸術を司る女神です。音楽や舞踊とも関わりが深く、文化を大切にするバリらしい神様のひとつといえます。
優雅な姿で表現されることが多く、知恵や美しさの象徴とされています。
②ガルーダの像

(※実際の展示とは異なる場合があります)
ガルーダは、大きな翼を持つ神聖な鳥で、神様の乗り物として知られています。力強さや守護の象徴とされ、インドネシアの国章にも使われている存在です。
そのため、バリでも特別な意味を持つ存在として広く親しまれています。
③ バロンの像

(※実際の展示とは異なる場合があります)
バロンは、バリの伝統的な神話に登場する守護的な存在で、善の象徴とされています。特徴的な見た目をしており、少し不思議でユニークな印象を受けるかもしれませんが、悪いものを遠ざける存在として信仰されています。
伝統舞踊にも登場するなど、文化とも深く結びついています。
④ ガネーシャの像

(※実際の展示とは異なる場合があります)
ガネーシャは象の頭を持つ神様で、商売繁盛や学問の神として知られています。障害を取り除く存在ともされており、入口や大切な場所に置かれることが多いのが特徴です。
日本でも比較的知られている神様のひとつで、親しみやすい存在といえます。
今回ご紹介した神様は、個人的に「バリ島といえばこのあたりかな」と感じたものを中心に選びました。どの神様も見た目のインパクトが強く、印象に残りやすいのが特徴です。
また、現地で使われている衣装や仮面については、「インドネシア バリエリア」だけでなく本館展示室でも数多く見ることができます。
こちらについては、改めて別の記事で詳しくご紹介していこうと思います。
“バリ島貴族の家”の個人的感想
実際に見てみて印象的だったのは、装飾だけでなく、使われている布や飾りの色合いがとても鮮やかで華やかだったことです。
全体的に派手さがあり、日本の落ち着いた色合いとはまた違った魅力を感じました。また、バリの住まいは宗教との結びつきが強く、生活の中に自然と神様の存在があるのも印象的です。

こうした点はヒンドゥー文化ならではの特徴なのかもしれません。さらに、どの家屋も開放的な造りになっており、日本のようにプライバシーを重視する空間とは少し異なる印象を受けました。
加えて、建物の配置や方角にしっかりと意味があり、それが厳格に守られている点にも驚かされました。
家屋だけでなく、山と海といった地形にも意味があると知り、住まい全体が文化や信仰と深く結びついていることを実感しました。

まとめ
リトルワールドのバリ島貴族の家は、建物を見るだけでなく、バリの暮らしや信仰を感じられるエリアです。
魔除けのボマや中庭の使い方、敷地内の祠などを知ることで、ただ眺めるだけでは分からない意味や背景が見えてきます。
実際に見てみると、日本とは異なる価値観や生活スタイルに触れることができ、より深く楽しめると感じました。
こうした文化の違いを知ることで、リトルワールドの魅力もより広がるのではないでしょうか。

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