リトルワールドといえば、世界各国の家屋や暮らしを実際に見て回れる野外民族博物館です。
世界の文化に触れながら楽しく園内を巡れる一方で、館内には思わず足を止めてしまうような、どこか不気味で怖い展示もあります。
なぜ、私たちはそれらを「怖い」と感じるのでしょうか。そして、その怖さの向こう側には、どのような文化や信仰があるのでしょうか。
今回はリトルワールドで見つけた「怖いもの」を紹介しながら、その背景にある各国の文化を一緒に紐解いていきましょう。

リトルワールドの怖いものとは?
リトルワールドの楽しみ方と言えば、外の明るい日差しの中で民族衣装を身にまとって記念写真を撮ったり、各国のグルメを堪能したりできるのが魅力の一つです。
季節によっては花火やナイトマーケット、民族舞踊のイベントなども開催され、訪れるたびに新しい楽しみを見つけられる場所として人気があります。

そんな活気ある園内には、もう一つ少し雰囲気の異なる空間が存在します。それが、世界各地の文化を紹介する本館常設展示室です。
人類の誕生から言語や文化の形成、それぞれの国の暮らしまで、第1室から第4室では実物の展示品を通して世界の文化をたどることができます。
狩猟採取、農耕、社会、儀礼、冠婚葬祭などを順に見ていくと、世界各地の人々がどのような暮らしをしてきたのかを知れる興味深い展示が続きます。

ただし、動物の毛皮や狩猟の映像など、思わず目をそらしたくなるほどリアルな展示があるので苦手な方も少なからずいるでしょう。
順路に沿って進んでいくと、最後にたどり着くのが常設展示室・第5室です。ここに足を踏み入れると、今までの空気が一変します。

展示品保存のためか、少しひんやりとした階段状の展示スペースには、ライトアップされた仮面が、まるで来場者を見下ろしているかのように並んでいます。
瞑想を思わせるような落ち着いたBGMも、その空気をさらに重くさせているように感じてしまうほどです。
色鮮やかな衣装や生活道具に混じって、思わず足を止めてしまうような仮面や人形、儀礼に関わる道具が並んでいます。

実際に訪れたときも、展示を見た来館者から「魂が入っているみたい」「夜になると動き出しそう」といった声が聞こえてきました。
なぜ、これらの展示物はこれほどまでに「怖い」と感じるのでしょうか。
その異様な雰囲気に惹かれながら、気づけばまるで取り憑かれたように写真を撮っていました。
さあ、異様で不気味な空間へ、ご一緒しましょう。
(※ライトの加減で一部反射している写真があります。ご了承ください)

異様な雰囲気が漂う本館展示室『第5室』は仮面の宝庫
第5室で見られる展示品の多くは、各国の仮面です。第5室の主役と言っても過言ではないほど、その数と迫力に圧倒されます。
実は手前の第4室からも仮面や人形が展示されていますが、こちらもなかなか強烈なものばかり。第5室に入る前から、少しずつ異様な雰囲気が漂い始めます。
ここからは、メインとなる仮面を国や地域ごとに紹介していきます。見たことのある仮面から初めて見るものまで、実に多種多様。そのデザインと迫力に、きっと目を奪われるはずです。

東アジアの仮面|日本・韓国
■日本・沖縄(石垣島島)|アンガマ
石垣島の【アンガマ】は、旧盆の夜に、仮面を付けた精霊が家々を巡り、祖先の霊を供養する伝統的な行事です。

吊り上がった目に、薄ら笑いを浮かべたような口元。感情が読み取れない表情だからこそ、不気味さを感じてしまいました。
■韓国|タルチュム
韓国の伝統芸能【タルチュム】は、仮面をつけて踊りや歌、演劇などを行う仮面劇です。まだら模様や黒・赤を基調とした顔、そして目の部分が空洞になっているためか、表情が読み取れません。


しかも、それが壁にずらり。じっと見られているような、妙な視線を感じてしまうのは……気のせいだと思いたいです。

東南アジアの仮面|タイ·パプアニューギニア·ジャワ島
■タイ|コーン
タイの伝統的な仮面舞踊劇【コーン】は、宮廷文化の中で発展してきた舞台芸術です。カッと見開いた目ときらびやかな仮面が並ぶ様子は圧巻。華やかなはずなのに、こちらを見上げているように感じられ、妙な迫力がありました。

■パプアニューギニア|祖霊と造形
パプアニューギニアでは、祖先や精霊にまつわるさまざまな造形文化が見られます。第4室にも、そんな祖霊信仰を感じさせる仮面や造形物が展示されています。


特徴的なのは、見開くほど大きな目と長い鼻。そして、通常の仮面より何倍も大きく感じるほどのサイズです。
動物や精霊を表現したものだと分かっていても、私にはそう見えないほどの異様な造形でした。とにかく怖い。これが第一印象です。
こちらは仮面ではなく、椅子ですが合わせて紹介させていただきます。

■ジャワ島|トペン
ジャワ島の伝統的な仮面【トペン】は、神話や物語を題材とした仮面舞踊劇などに使われています。

一部の仮面は、口元が鳥の嘴のように尖り、そこから牙が覗いています。さらに、黒目の大きな目は上や下を向き、今にもこちらを見つめ返してきそうな雰囲気。
異様な造形なのに、舞台では神話や物語の登場人物を演じるために使われるというのが、なんとも興味深いところです。写真で見返してみても、やっぱり今にも動き出しそうに見えてしまいます。
インドの仮面文化
■インド|伝統的な仮面舞踊チョウ
インド東部に伝わる仮面舞踊【チョウ】は、仮面をつけて踊る伝統芸能です。展示には、こうしたインドの仮面文化を感じさせる仮面が並んでいます。

これまで見てきた仮面とは少し雰囲気が違い、人間らしい表情と艶やかな造形が印象的でした。不気味さを感じるものも多い中、こちらは怖いというよりどこか親しみやすい印象。
同じ「仮面」でも、表情や色彩、造形が変わるだけで、受ける印象はここまで違うのかと感じました。
アフリカの仮面|コンゴ·ブルキナファソ
■コンゴ|造形力と独創性
コンゴの仮面は、民族や地域によってさまざまな特徴や役割を持ち、儀礼や祭礼などに用いられてきました。展示されている仮面は色彩がほとんどなく、無機質な印象を受けます。
さらに、目の部分が空洞になっているものが多く、その奥に何かが宿っているようにも見えました。



文化的な意味を知らずに見たら、「魂が入っているのでは?」と思ってしまうほどの不気味さです。
■ブルキナファソ|儀礼に使われる仮面
ブルキナファソの仮面は、儀礼に使われるものとして展示されています。その姿は、一般的な「仮面」のイメージとは少し違っていました。
等身大ほどの大きさがあり、顔だけでも身長の半分ほど。細長い顔に大きな目、鷲鼻、分厚い唇と、かなり特徴的な造形です。体まで一体になった姿は、仮面というよりも大きな木彫りの像を思わせます。

初めて見たときは、その独特な見た目に圧倒されました。ところが、これは単なる装飾品ではありません。儀礼に使われる神聖な仮面です。
見た目の異様さとは裏腹に、そこには信仰の中で大切にされてきた意味がある。このギャップこそ、民族文化を知る面白さなのかもしれません。
北米の仮面|カナダ·アメリカ
カナダ・イヌイットの仮面には、シャーマンや精霊を表現したものがあります。目力が強く圧倒される物も見られました。精霊というより禍々しさを感じてしまいした。

中南米の仮面|グアテマラ·コロンビア
中米マヤ族の仮面は、聖者の祭りに利用されるものとされています。これまで見てきた仮面とは雰囲気が異なり、人間に近い造形と豊かな表情が印象的です。そのため、怖さはそれほど感じませんでした。

先ほどのイヌイットの仮面が精霊を思わせる独特の迫力を持っていたのに対し、こちらは人の顔に近い。同じ「仮面」という展示品でも地域が変わるだけで、ここまで印象が違うのかと驚かされます。
北米エリアの精霊信仰
北米の精霊信仰はアミニズムを基本としています。動植物・自然といった大地すべてには精霊が宿ると考えられている思想です。
自然界の精霊と繋がることで、精神的な調和・心身の浄化・部族の絆といった恩恵を得られると考えられています。
アミニズム(animism)の語源はラテン語で、気息・霊魂・生命を意味する言葉に由来します。
■アメリカ・ホピ族|カチーナ
【カチーナ】とは、アメリカ先住民ホピ族が信仰する、自然現象などを精霊として表現した木彫りの人形です。
その種類は数百を超えるともいわれ、精霊の姿や役割を後世へ伝える役目も担っています。色鮮やかで小さな人形は、これまで見てきた仮面とは対照的です。

怖さよりもかわいらしさが先に立ち、どこか「民族文化版のゆるキャラ」のようにも見えてきます。同じ精霊信仰でも、表現方法によってこんなにも印象が変わるのが面白いところです。
■アラスカ・トリンギット族|トーテム
写真のトーテムは狼を表しています。トーテムとは一つの単語ではなく、意味としては【守護獣】【神聖な象徴・シンボル】【血縁のしるし】と記されます。
独特にデフォルメされたデザインは、普段見慣れていないからか、かなり印象的です。特に白目をむいたような目と、ニタッと笑っているように見える口元が、どこか不気味に感じられました。

しかし、トーテムは単なる装飾ではありません。氏族の歴史や神話、祖先などを伝える伝統的な造形文化です。
怖く見えるのは、見慣れない造形だからこそなのかもしれません。文化的な意味を知ってから改めて見ると、先ほどとは少し違った表情に見えてきます。
南米エリアの神話と民間信仰
このエリアで見られるものは、ボリビアのカーニバルとブラジルの民間信仰になります。
先住民が信仰してきた神様と異教の融合。異国の地へ連れてこられた人々が支えとしたものについて触れていきましょう。
■ボリビア|カーニバル
こちらは南米ボリビアのお祭り「オルロのカーニバル」です。オルロとは、南米ボリビアの高地で標高3,700メートルに位置する街の名前。
元々オルロに住んでいた先住民ウル族は、地底の守護神を信仰していました。17世紀に入り、スペイン人が入植してきた際に先住民の信仰を禁止します。さらにスペイン人は、先住民が信仰してきた神々を悪魔に仕立て上げてしまいました。
一見恐ろしく見えますが、これは先住民が信仰した神様であると同時に、キリスト教から見た悪魔の姿でした。それを征し従わせるのが大天使でした。
この写真の仮面は【ディアブラータ(悪魔の踊り)】といわれるものです。カーニバルで踊る7人のディアブロ(悪魔)は、キリスト教における七つの大罪の象徴と言われています。


ディアブラーダは、スペイン人入植者による先住民支配に対して、自由を求める鉱夫たちの抵抗を、人形になぞらえて踊ったものになります。
そこにはキリスト教とアンデス先住民の信仰が重なった独自の文化がありました。
体は人間なのに、頭から大きな角が生え、カマキリを思わせる目と口元をした姿はまさに異様。実際に目の前にすると、その迫力に圧倒されました。
これらは悪魔や魔王をモチーフにしたもので、大きな目や牙には、人間の醜い感情を表現する意味が込められているそうです。
さらに頭上にはヘビやトカゲの姿も見られます。アンデス地方の神話に登場する生き物が取り入れられているのも特徴です。


身につけるにはあまりにも重そうな仮面ですが、そこにも意味があります。仮面の重さを「自分の罪を背負う苦行」として表現しているのだそうです。
見た目の恐ろしさだけでなく、その背景に宗教や神話が重なっていることを知ると、単なる「怖い仮面」では見られなくなります。多分…
■ブラジルの黒人奴隷民間信仰| カンドンブレ
一見すると民族衣装の展示のように見えますが、こちらは【カンドンブレ】というブラジルの民間信仰の一つです。
アフリカからブラジルへ渡った人々が、西アフリカの伝統的な信仰を基盤に、カトリックなどの影響も受けながら形成されていきました。
音楽や踊りを通して神々とつながり、神が人に乗り移る「憑霊」を伴うことも特徴の一つです。

カンドンブレが生まれた経緯には苦しい状況下の中でも、白人からの支配に抵抗すると共に、自分たちの文化とアイデンティティを守るためでした。

ブラジルの植民地支配をしていたポルトガル人は西アフリカ人の宗教を禁止し、カトリックへの改宗を強要しました。
そこで彼らはカトリックの神様と自分たちの信仰する神(オリシャ)を重ねることで、カトリックを信仰するふりをしながら、裏では本来の神々を祀り続けてきたのです。
カンドンブレにおける音楽は、儀式に必要な役割を担っており、神々を地上に呼び出し、祈りを捧げるためでもありました。
ここで感じたのは、信仰そのものに対する「怖さ」ではありませんでした。その文化が生まれた背景を知ると、かつて人が人として扱われなかった時代があったことに、むしろ虚しさを感じます。
植民地支配、黒人奴隷制度がなければそもそも存在することもなかった文化でしょう。
怖いものを探して訪れたはずなのに、展示を通して見えてきたのは、文化だけではありません。そこには、その文化を生き抜いてきた人々の歴史も残されていたのですね。
東アジアの宗教観
■日本 | 北海道アイヌの熊送りイオマンテ
アイヌ民族の伝統的な儀礼の一つが【イオマンテ】です。
アイヌ民族にとってヒグマは、山の神「キムンカムイ」と呼ばれ、人間界にやってきた神聖な存在とされてきました。

捕らえた子グマを1〜2年ほど飼育した後、クマの魂を神の国へ送り返す儀式でした。
大切に育ててきた子グマを神の国へ送り返すという儀礼は、現代の感覚からすると、かなり衝撃的に映ります。
現代では、かつてのような形で一般的に行われている儀礼ではありません。
■韓国のシャーマニズム
韓国のシャーマニズムは【巫俗(ムソク)】と呼ばれる朝鮮半島の伝統的な民間信仰です。
その儀礼を担うシャーマンは「ムダン」と呼ばれ、「クッ」と呼ばれる歌や踊りを伴う儀礼を行います。

リトルワールドに展示されている楽器は主に打楽器と鳴り物でした。地域によって楽器に違いはありますが、これらを打ち鳴らすことは神様への儀式開始の合図となり、盛大な音楽で神様をお迎えし歓迎する役割を果たします。
さらに鳴り物の澄んだ音は空間を浄化し、悪霊を追い払う役割を持ちます。日本のいうところのお寺の「お鈴(おりん)」や「印金(いんきん)」に近いように感じられます。



さらに調べてみると、ムダンには霊的な力を持つとされ、刃物の上を歩く儀礼が伝えられていることも分かりました。
霊力によって刃物の上を歩いても皮膚が傷つくことはないとされるのですが、はたして本当なのか…

展示品だけを見ていたときには分からなかった韓国のシャーマニズム。その背景を知ると、文化そのものへの興味が一気に深まります。
■中国·台湾の道教
道教は中国で生まれた宗教で、儒教・仏教と並ぶ中国の代表的な宗教の一つです。展示されている神像や装飾は色鮮やかで、華やかな印象を受けます。
道教の衣服が極採色なのは、中国古来の宇宙観(陰陽五行)に基づいています。
色彩には自然のエネルギーが割り当てられ、その中でも特に赤は邪気を払い、幸福や繁栄をもたらす最も縁起の良い色であり、黄色・金色は宇宙の中心・皇帝の権威・神聖さを表す最高位の色とされています。


ところが、道教について調べていくと、死者や霊魂にまつわる中国の民間信仰など、少し怖い話にも出会いました。映画などでおなじみの「キョンシー」も、中国の死者・死体にまつわる伝承から生まれた存在です。
展示そのものが怖いわけではないのに、背景を調べると別の顔が見えてくる。華やかな神像の裏側には、神だけではなく、死者や霊魂に対する人々のさまざまな考え方もあったのだと感じました。

インド・チベット・ネパールの神話と宗教文化
インド・チベット・ネパールの神話と信仰は、ヒマラヤ山脈と深い歴史的繋がりで結ばれているため、互いに影響を与えながら独自の発展を遂げてきました。
ヒンドゥー教と仏教の原点であるインドから、他教徒が融合したネパール、密教が花開いたチベットへと神々の教えが伝播したのが特徴的です。
■インドの神話
インド・ベンガル地方の農村には、絵巻物【ポト】を歌いながら語る絵師が存在し、語り部は【ポトア】と呼ばれています。

インド神話が布や紙の絵巻物として語られてきたのは、文字の読めない一般民衆に対して、視覚的イメージと音楽を伴う絵解き(口承芸能)によることで、神話やその教えを分かりやすく伝える必要があったからです。
この絵巻物は、本館常設展示室の第3室で見ることができます。今回は、その中から特に印象に残った3つの場面を紹介します。

《ラーマーヤナの戦い》
魔王ラーヴァナの妹が主人公ラーマたちに襲いかかり、鼻や耳を削ぎ落とされる場面です。この戦いをきっかけに、物語は神々と魔物による大戦争へと突入していきます。

《ガーズィー・ポト》
イスラム教の聖者(ピール)が、トラやワニに襲われている場面です。これは猛獣や悪霊の脅威から人々を守る奇跡を描いた【ガーズィー・ポト】という絵巻物の一部です。

《ヤマ・ポト》
こちらは地獄【ヤマ・ポト】の場面。現世で悪い行いをした者が、あの世で鋸によって身体を切り裂かれる刑罰を描いています。
日本の地獄絵図にも通じるものがありますが、一見するとどこかシュール。それでも、鋸で身体を切り裂かれる様子を目の当たりにすると、やはり恐怖を感じずにはいられません。

■チベット·ネパール|人骨と密教法具
チベット密教とは、チベットを中心に発展した仏教の一派です。チベット独自の土着信仰が融合して発展した総合仏教になります。
チベット密教で有名なものにはマニ車、ドルジェ、ティンシャ、シンギングボールなど、神秘的な法具が多く見られますが、リトルワールドでは一風変わった法具が展示されています。
これらは煩悩を打ち砕き、心を浄化するための道具として存在します。

それが【カンリン】と呼ばれる人骨笛で、人間の大腿骨で作られた魔除けのラッパです。

その他、【ふり太鼓】(髑髏太鼓)という2つの頭蓋骨を背中合わせにした小型の太鼓も見受けられます。オカルト要素のある法具に見えますが、どちらも神聖な道具として扱われてきました。

わざわざ人骨を使用するのは、魂が抜けた後の肉体は自然の循環に返すものという死生観と、高僧の骨は「聖なる力が宿るもの」として尊ばれたからです。
■チベット·ネパール|ヴァジュラバイラヴァ(大威徳明)
ネパールやチベットの密教において、ヴァジュラバイラヴァは無知や恐れを断ち切る強力の守護尊として信仰されています。
水牛の頭部を持ち、最上段に文殊菩薩の温和な顔が配置されています。多くの手足を持つ恐ろしい姿ですが、その姿には悪や煩悩を打ち負かす意味が込められています。


見た目だけなら恐ろしく感じますが、意味を知ると印象が大きく変わる仏像でした。
オセアニアの祖霊信仰
オセアニアの祖霊信仰は、ポリネシア・メラネシア・ミクロネシアなどの地域や先住民の間で、自然崇拝や、祖霊が持つ霊力(マナ)と深く結びついてきた世界観です。
死者は消え去るものではなく、見えない世界から子孫や自然を見守る存在と信じられています。
■メラネシアの肖像頭蓋骨
パプアニューギニアやバヌアツなどのメラネシア地域では、亡くなった有力者や祖先の頭蓋骨に生前の顔を再現し装飾する【肖像頭蓋骨】と呼ばれる文化的な伝統が存在していました。

祖霊や精霊には強力な霊力が宿ると信じられているため、手厚く祀ることで、一族を守ると伝えられてきたものです。
日本人の感覚では少し驚いてしまいますが、亡くなった人を身近に感じ、祖先の力に守られることを願う文化だったと知ると、見え方も変わってきます。これも価値観の違いなのでしょう。
■パプアニューギニアの祖霊信仰
マンドック島の仮面や祖霊像は非常に大きく、今にも動き出しそうな雰囲気を醸し出しています。これらは祖先や森の精霊を象徴する神聖なものです。
成人男性が中に入り、子どもたちを怖がらせる儀式に使われますが、単なる脅しではなく、村の秩序を守る役割も担っていました。


槍を持つ姿は物騒にも見えますが、見た目の怖さとは裏腹に、村の秩序を守る大切な役割を担っていたのです。

■バリのガルーダ像
バリ島のガルーダは奇抜な色合いに飛び出した目、裂けた口元。あまりのインパクトに、思わず目を離せなくなるほどでした。

恐ろしい見た目とは裏腹に、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌを乗せて飛ぶ忠実な守護者であり、神聖な霊鳥です。
■ホワイトモンキー・グリーンモンキー
バリ神話に登場するホワイトモンキーとグリーンモンキーは、神話に登場する猿の姿をした存在です。

ホワイトモンキーは【ハヌマーン】、グリーンモンキーは【スグリーヴァ】とされ、神話では兄弟の争いが描かれています。

見た目だけなら少し不気味にも感じますが、神話を知ると、それぞれに物語を背負った存在なのだと分かります。
アフリカエリアの呪術
アフリカの多くの呪術は、病気の治療や人間関係のトラブル解決、占いといった、日常生活と結びついていることが多く、実用性と生活に密着しています。
とはいえ、国や地域によっては用途も目的も様々のため、一概のこれですと断定するのは難しいのがアフリカエリアの呪術ではないように思われます。
■コンゴの呪術
コンゴの展示でひときわ目を引くのが、呪術に使われてきた道具の数々です。木彫りの像に無数の鉄片や釘が打ち込まれたものも見られます。
これらは人を呪うためだけのものではなく、悪霊と戦ったり、病気や災いを追い払ったりする目的で使われてきたそうです。


骨や石などを使った道具も多く、素朴でありながらどこか近寄りがたい雰囲気があります。一見すると恐ろしい呪術の道具ですが、そこには病気や災いから人々を守ろうとする願いが込められていたのです。



ここには詳しい解説文がないため、もしかしたら本当に人を呪っていた物もあるかもしれません…これらの一つ一つに人の念が入っていても不思議ではないように感じられます。

本館展示室だけじゃない!園内で見つけた「怖いもの」
謎のオブジェ|ポンのりこさんの作品
本館常設展示室の通路途中の中庭と園内にある謎のオブジェの見た目が怖いんです…説明文を読んでも正直なんのことやら?
正直、私には理解が出来ませんでした。ですが決して作品を批判してるわけではありません。


どういった経緯で置かれるようになったかは不明ですが、リトルワールドの世界観とはかけ離れているように感じてしまいます。



本館展示品出口の獣像
本館の常設展示室を見終え、出口へ向かうところで目に入るのが、こちらの獣像です。鮮やかな緑とピンクで彩られた姿は一見カラフルですが、大きく開いた口から覗く鋭い牙や、こちらを見据えるような目には迫力があります。

いったい何を表現した像なのかは分かりませんが、展示を見終えた最後にこの姿が待ち構えているのも、なかなかのインパクトです。もしかしたら神様なのかも?
リトルワールドのキャラクター|ヤンバン
韓国の伝統仮面劇に登場する紅白両班(ヤンバン)は顔の半分が赤と白の二面性を表現した特殊な仮面です。

リトルワールド公式情報によれば、リトルワールドが開園する前に『紅白で縁起が良いから』という理由でシンボルキャラクターになったそうです。縁起が良さそうという日本人らしい視点と意見には納得してしまいます笑
人面の木彫り
こちらは廊下の片隅に置かれていた木彫りの像。大きく彫られた口と目、笑っている表情が妙に印象に残ります。

説明書きがないため、何を表したものなのかは分かりません。ただ、無表情な仮面とは違い、笑っているからこそ、逆に不気味に感じてしまうのが面白いところです。
バリエリアの謎の木彫り彫刻
バリのエリアを歩いていると、植え込みの向こうにひっそりと佇む木彫りの像を発見。細長い体に大きな目、頭上には独特な装飾が施されており、周囲の緑の中に立つ姿はかなり異様です。
こちらも説明書きがなく、何を表したものなのかは分かりませんでした。(もしかしたら生垣に隠れているだけかもしれませんが)

華やかなバリ文化の展示が並ぶ中で、なぜか一体だけ静かに佇んでいる姿が、かえって気になってしまいました。夜歩いていて、目の前にこんなのが立っていたらビビります笑
ネパール寺院の六道輪廻図
ネパール仏教寺院の入り口で見られる六道輪廻図は死後の世界と生まれ変わりの教えを絵図にしたものです。
仏教の六道輪廻とは絵のタッチが違いますが、細かな描写は恐ろしさの中にも美を感じられる作品希少価値は高そうです。

韓国の柱|チャンスンとソッテ
韓国の村の入り口に立てられる伝統的な村の守護神です。魔除けの役割と村の安全を祈るために置かれました。顔が逆に怖いです。


韓国の像|トルハルバン
韓国·済州島のシンボル的な石像で、「石で作ったおじいさん」の意味だそうです。守護的な役割や厄災を防ぐと言われ、町の入り口に立てられるようになったそうです。沖縄の石敢當に似てますね。

まとめ|怖いと感じた展示の奥にあるもの
リトルワールドの本館には、思わず「怖い」と感じてしまう仮面や人形、儀礼道具などが数多く展示されています。
しかし、その一つひとつを見ていくと、そこには精霊や祖先への信仰、神話、宗教、厄災から身を守るための儀礼など、それぞれの文化に根付いた意味がありました。
私たちから見ると不気味に感じる姿でも、現地では神聖な存在として大切にされているものもあります。「怖い」という感覚をきっかけに展示品を見ていくと、普段とは違った角度から世界の文化に触れられる。それも、リトルワールドの本館展示を楽しむ面白さの一つなのかもしれません。

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