愛知県半田市は知多半島の中央部に位置しています。昔ながらの街並みが今も残るこの街に、ひときわ目を引く赤レンガ造りの建物があります。
『半田赤レンガ建物』と呼ばれ、かつてはカブトビールの製造工場として使われていました。現在では、当時の面影を残しながら、地元の人々に親しまれている観光スポットとなっています。
今回は、そんな半田赤レンガ建物へお邪魔してみました。見どころポイントをいくつか紹介していきます。

半田赤レンガ建物ってこんなところ
半田赤レンガ建物は、かつてカブトビールの製造工場として使われていた建物の一部を保存・活用した観光施設です。
内部には資料館を始め、お土産コーナー、カフェが設けられています。定期的にイベントも開催されており、地元の人々の憩いの場として親しまれています。
展示を楽しんだり、カフェでひと休みしたりと、それぞれの過ごし方ができるのも魅力だと感じました。

赤レンガ建物建物の施設概要
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 〒475-0867 愛知県半田市榎木町8 |
| アクセス(電車) | ・名鉄河和線…住吉町駅下車 東へ徒歩5分 ・JR武豊線…半田駅下車 北西徒歩15分 |
| アクセス(車) | 知多半島道路利用 半田中央インターより東へ車で10分 |
| 駐車場 | ※隣接する住宅展示場(ナゴヤハウジングセンター半田会場)との共有 ・北駐車場…32台 ・南駐車場…38台·バス4台 |


初めて訪れる方は、ストリートビューで周辺の様子を確認しておくとイメージしやすいですよ。

なお、半田赤レンガ建物は国道247号線沿いにあります。ただし、中央分離帯があるため、反対車線からは直接入ることができません。
車で訪れる際は、あらかじめ進行方向を確認しておくとスムーズです。
営業時間と定休日
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 営業時間 | 9:00〜18:00(金土はcafe営業は21:00まで) |
| 定休日 | 施設点検の日が休館日となります。年末年始(12月29日〜1月3日) |
私が訪れた日は平日だったこともあり、館内はゆったりと見学できました。時間を気にせず過ごしたい方は、平日の来館がおすすめです。
※詳しい営業日やイベント情報は、公式ホームページをご確認ください。
定期的にイベントも開催
赤レンガ建物では、定期的にイベントが開催されているようです。現在開催中のイベントはこちらになります。

・4月30日(木)〜10月12日(月·祝) 『建築を遊ぶ展』半田赤レンガ建物内ギャラリー…入場料は平日300円/土日祝500円
・7月19日(日)〜7月20日(月) 『akarenga craft villege』(ハンドメイドのクラフトマーケット)…入場料は無料
建築を学ぶ展の展示スペースをチラッとのぞいたところ、ちょっとしたアスレチックのような雰囲気で、子どもが楽しみながら学べそうだと感じました。夏休みの自由研究にも役立ちそうです。
ハンドメイド作家のクラフトマーケットは2日間の開催ですが、出店元は雑貨、焼き菓子、パン、アクセサリーなどが多いようです。
半田赤レンガ建物を訪れるタイミングが合えば、こうしたイベントに参加してみるのも楽しみ方の一つです。
施設見学と合わせて楽しめるため、訪れる前にイベント情報もチェックしておくと良いでしょう。

見どころポイント4選
半田赤レンガ建物は大きく分けて4箇所の見どころポイントがあると思います。赤レンガ建築そのものも見どころですが、今回は実際に館内を見学して感じた「4つの見どころ(目的別で楽しめるポイント)」を紹介します。
館内へ入ると、まず目に飛び込んでくるのがお土産コーナーとカフェです。
1つずつ見ていきましょう。

①お土産コーナー | 地元の商品が目白押し
入り口から入って右手にお土産コーナーがありました。知多半島で親しまれている醤油や和菓子をはじめ、地元ならではの商品が数多く並んでいます。


もちろんカブトビールも買うことができるし、買ったビールをオープンテラスで飲むのも美味しそうです。
私はビールが飲めないので味の感想はお伝えできませんが、オープンテラスで味わえば、より雰囲気を楽しめると思いました。

建物の所々には、工場の名残を思わせる鉄の扉や鉄骨が今も残されており、ビール工場として使われていた当時のレトロな雰囲気を感じることができました。


②カフェ | 地元の食材と復刻ビールを味わえる
建物の左手にはカフェが併設されていました。メニューは大まかに・アラカルト・ランチ・デザート・アルコール・ソフトドリンクです。

メニューはランチをはじめ、アラカルトやデザート、アルコール、ソフトドリンクまで幅広く用意されていました。
パンフレットによると、知多半島の新鮮な食材を生かした料理が楽しめるそうです。ここでしか味わえない復刻カブトビールは特にメインどころではないでしょうか?


せっかく来たのだから何か食べてみようと思い、メニュー看板を凝視。しばらく迷って気になった「酒粕チーズケーキ」を注文しました。
注文はスマホのQRコードから行います。注文してすぐ運ばれてきました。

綺麗な断面に濃厚そうなチーズケーキ。手前にはアクセントとして酒粕とミントがチョンと添えられています。お皿のデザインも含めて見た目がとてもオシャレでした。
一欠片ごとに酒粕を付けて食べてみます。濃厚なチーズケーキに甘酒ソースが合わさることでさらに濃厚さが際立つように感じられました。

あっという間に食べ終えてしまうほど美味しく、もう少し食べたいと思えるものの、酒粕の風味が上品に感じられ、満足できるデザートです。
③有料エリア | 建物の歴史を学べる常設展示室
エントランスの奥には総合案内所があり、その奥通路と企画展示室がありました。エントランスだけじゃなくて建物の奥にも進めるみたいです。

ちなみに黄色枠の常設展示室A〜Cが有料エリアとなります。料金は大人(高校生以上)は200円。中学生以下は無料です。

ここではカブトビールを製造していた当時の赤レンガ建物の歴史、ビールの製造方法、当時の看板デザインや時代の移り変わりの様子をパネルと現物展示、模型で紹介しています。
レトロ好き、文化探訪好きには刺さる内容なのですが、残念なのが撮影禁止ということです…内部の様子は観光サイトでも一部紹介しています。
ここでは紹介できない分、ぜひ現地でじっくり見ていただきたい展示です。気になる方は是非ご自身の目で確かめてみてはいかがですか?
ちなみに撮影禁止エリア以外でも見どころはたくさんありました。無料で見られる物をいくつか紹介させてください。

④無料エリア | 雰囲気とパネルだけでも楽しめる
まず、2階へ上がるリフト跡の空間が残っていることです。こちらがその様子。

お土産売り場の裏に位置しています。『当時はここからリフトで上がっていたんですよ』と受け付けの女性が丁寧に教えてくださいました。
下から見ると、ぽっかり空いた空間の先には暗闇が広がっていて、どこか不気味にも感じられました。ずっと見ていると背筋がゾクゾクしてきます。


ひとしきりリフト跡を見終わった後はこちらの通路を進みます。
向かって左側に常設展示室が並びます。これだけでも味がある。なんだか冒険しているようでした。これぞ文化探訪です!!

先を進むと、常設展示室の向かい側に当時使用されていた木造階段も見学できます。硝子張りですが、説明書きがあるので当時の状況が分かりやすいと感じました。
外からだと分かりづらいですが、赤レンガ建物は5階まであるようです。昔はこの階段で昼夜仕事をしていたんですね。
現在は照明が明るいので分かりにくいけど、明治や昭和の時代はもっと暗い中での作業だったと思います。


さらに奥に進むと企画展示室に辿りつきます。テーブルとイスがズラッと並んでいて、どこか殺風景ですが、日差しが入り込んでとても明るいです。建物でいうところの北側になります。
ここでもイベントが開催されるようですね。壁には当時のパリ万博に出品したカブトビールの受賞記事がパネルで紹介されていました。


明治時代の古き良き日本らしいレトロなデザインが目を惹き、ここでも足を留めて見入ってしまいます。
通路、明るい展示室。赤レンガ建物はいろんな顔を持っているようで見ていて飽きないのが楽しかったです。
半田赤レンガ建物の歴史
こちらでは半田赤レンガ建物の歴史についてお話していきます。

実はこの建物を設計したのは、横浜赤レンガ倉庫なども手掛けた建築家・妻木頼黄(つまき よりなか)です。
明治時代を代表するレンガ建築の一つで、全国有数の規模を誇る貴重な建物でもあります。
まずは半田赤レンガ建物が建てられた歴史を辿っていきましょう。

カブトビールの製造工場として明治時代に誕生
1889年、丸三麦酒株式会社は、半田で瓶詰めビール「丸三ビール」の製造を開始しました。その後、本格的なドイツ式醸造法を取り入れると、銘柄を「加富登麦酒(カブトビール)」へ改めます。

1900年(明治33年)にはパリ万国博覧会へ出品し、金賞を受賞。この受賞をきっかけに、カブトビールの名は全国へ広く知られるようになりました。
当時の金メダル、金賞受賞のニュースは記事として取り上げられています。この受賞により、地方で生まれたカブトビールの品質の高さを国内外へ示す大きな出来事となりました。

地元に愛された建物 | 受け継がれてきた歴史的価値
半田赤レンガ建物はハーフティンバー様式で作られています。ビール醸造に必要とされる【アーチ状の耐火床】や【5重の複壁】など、当時の最先端技術が用いられているのが特徴です。
数ある栄光と長い歴史を刻んできたカブトビール工場ですが、昭和に入ると、競合他社との激化や戦争の影響もあり、工場は閉鎖されてしまいました。
1944年には中島飛行機製作所の衣糧倉庫となり空襲の被害を受けてしまいます。戦後には日本食品化工のコーンスターチ工場として使用されることになります。

1996年には工場の解体が始まったものの、市民から「この建物を残してほしい」という声が高まり、保存活動が進められました。これがこの建物の運命を変えた瞬間でした。
そして2004年に国の登録有形文化財に。2009年には近代化産業遺産に認定されています。
現存している部分は醸造工場の一部です。改修工事を終えた半田赤レンガ建物は、昔も今も市民から愛され続け、現在に至ります。

120年もの歴史を生きつづけ、半田市の街を市民と共に歩んできた背景があるからこそ、こうして私達の前に存在しているんですね。
こうして現在まで残されてきた背景には、建物を守りたいという地元の人々の想いがあったことが伝わってきます。
戦争の爪痕を今に伝える赤レンガ建物
半田赤レンガ建物は、ビール工場としての歴史だけでなく、戦争の歴史も刻んできました。

北側の壁には太平洋戦争の空襲で受けた機銃掃射の弾丸が今も残されています。北側は道路と反対側に位置しており、今も当時の様子を直に見ることができます。
現場に行くと、案内看板が立てられていました。近くで見ると、屋根近くにボコボコした穴がいくつも見られるのがよく分かります。


これが下から見上げた機銃掃射を受けた跡です。直接見ると、とても生々しい。
壁に残った当時の弾丸を常設展示室で見ましたが、思った以上に大きいのを覚えています。

当時この場所にあんな鉄の弾が雨のように降ってきたなんて、想像しただけでゾッとしました。
実際に弾痕を見ると、戦争が決して遠い昔の出来事ではないことを実感します。
戦争遺跡の多くが老朽化などによって姿を消しつつある中、半田赤レンガ建物はビール工場としてだけでなく、戦争の歴史を今に伝える貴重な建物でもあるのが伺える場面でした。

まとめ
今回は、半田赤レンガ建物へお邪魔しました。ビール工場として栄えた歴史や、戦争の爪痕を今に伝える姿など、実際に訪れてみることで初めて分かる魅力が数多くありました。
お土産選びやカフェを楽しむだけでなく、建物そのものが歩んできた歴史に触れられるのも、このスポットならではの魅力です。


私自身も、季節ごとのイベントや企画展示を目的に、また訪れてみたいと思いました。半田市を訪れる予定がある方や、レトロな建築や歴史に興味のある方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
お出かけ前は、最新の営業時間やイベント情報を公式ホームページで確認しておくと安心ですよ。

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